レポート

2021/12/13

ごみ拾いを持続させる境川のアクション

12月4日快晴、町田市を流れる境川のごみ拾い活動に行ってきました。 参加させていただいたのは、町田市で活動している「Earth Cross Over」のごみ拾いイベント「週末リバークリーン」。週2日、境川を中心とした清掃活動を行いながら、交流会を交えたイベントを定期的に開催されており、今年最後のイベントに参加させていただきました。 境川は町田市の南端から横浜市、大和市、藤沢市の市境を流れ、江の島付近で相模湾に注ぐ、延長約52kmの二級河川。電車から見たことはあったのですが、訪れるのは初めての川。 町田市役所に集合し、道路に落ちているごみを拾いながら活動エリアに向かいます

川の中での清掃ということで、匂いや汚れも覚悟していたのですが、そんな心配は全くなく、透き通っていて山の中を流れる清流を感じさせるレベルです。さらに、たくさんの白鷺、川鵜や鴨までいるではないですか。これだけでも、魚の住む綺麗な川であることを証明してくれています。町田駅から10分程度でこの自然を味わえるのは本当に驚きです。 いよいよ川に入るのですが、降りる前に「葦をなるべく踏まない・傷つけない」という注意説明があり、葦を寝ぐらにする生き物がいること、川を綺麗にしてくれる浄化装置になっていることを説明してくれました。確かに清掃するために壊すものがあってはダメですし、しっかりルールを理解して活動しないと、単に拾うだけでは不十分であるということですね。

降りて葦やその他の植物を見てみると「浄化装置」という意味が良くわかります。水をキレイにするということだけではなく、「ごみを止める」というとても大切な役割を担っていました。ここで止めることでごみが取りやすくもなりますし、下流へ流れ、最終的に海に出ていくことも防ぐことができるということです。

拾い始めて感じるのは、食品やお菓子のパッケージや企業・農業で使われるような「ビニール・プラスチック」素材の多さです。全体の8割は占めているのではないでしょうか。これらが流れ海に出て、海洋プラスチック問題につながっていくのが容易に想像できます。

今回のイベントでは17名で、20ℓ×12袋分のごみを拾うことができました。ごみの中には炊飯器のような意図的に捨てないと川の中では見つからないであろうものもありますが、日頃から誰もが手にしている食品パッケージや仕事で使う資材など、自分たちで管理すれば川に流れることがないものばかりだということが分かりました。 週2日の活動でもごみは減っていないと感じるという「Earth Cross Over」のMAKINIKUさんは言います、「境川でごみを拾っている」ことを知ってもらうことで、参加してもらえることもとても嬉しいが、「拾われるごみをださない」「身の回りのごみは拾おう」という気持ちを醸成できるだけで意味があると。確かに「捨てる」がなければ、「拾う」必要もなくなるのですから、ごみの取り扱い方を見直していくのが最短の課題解決になるのかも知れません。

川に降りると、風景が変わり、風や音も地上とは全く違っています。単にごみを拾うというボランティという価値だけではなく、参加する人の健康にも、気持ちにも、良い効果があるのではないかと思いました。一番印象的だったのは、「ありがとう!」大きく可愛い声が聞こえたので振り向くと、お母さんが運転する自転車の後ろに乗っている幼い子どもが、川でごみ拾いをするみんなに「ありがとう」と言いながら通り過ぎていくではないですか。ちゃんと見ている人たちがいて、応援してくれている人がいる。それだけでも、十分にやりがいを感じられるものです。

「Earth Cross Over」を知るきっかけとなった、メンバーのKanakoNezzzさんが制作している「境/SAKAI JEWEL」。境川で拾ったガラスの破片やタバコの吸い殻などを材料に1つ1つハンドメイドでアクセサリーへアップサイクルされています。ごみ問題や気候変動など、環境問題をテーマにして、とてもユニークなデザインで発表されており、活動を持続させるために拾ったごみを価値あるものに変え、それを活動資金の一部としていくという、自走させる取り組みも行われています。

今回は境川の上流でごみ拾いをおこなっている中学生・先生も参加されており、ごみ拾いの後に「ごみを川に捨てさせないための看板」作りや「川がどんな場所になって欲しい?」などのディスカッションも行われた。子どもたちが自主的に課題を発見し、そして解決方法の相談相手になれるというのは非常に重要なことで、「Earth Cross Over」という活動が、仲間という存在に変わっていくのを感じ取ることができました。 メンバーのKanakoNezzzさん、MAKINIKUさん、YumeBookさんという3人の個性と得意技で、自分たちが楽しみ、周りを巻き込み、仲間を増やしていくというスタイルが、これからどのように発展し、境川のごみをどこに導いていくのかこれからも注目していきたいと思います。

reporter=渕上 将一

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