インタビュー
2022/04/01
イノベーションによって、世界での「To End Waste」を目指す。 【Rubicon COO/ Head of Global Expansion Renaud de Viel Castel氏】
米国でIoTを活用したサーキュラーエコノミー事業を営み、世界20か国以上で廃棄物・リサイクルソリューションを提供、廃棄物業界におけるイノベーションを起こす世界的なリーディングカンパニーであるルビコン。
2019年より彼らと開発と実証を重ねてきたWOOMS App&Portalの製品版が4月よりリリースされるにあたり、彼らが抱くビジョンとイノベーション、日本におけるパートナーである小田急への期待について、COOでありグローバル展開の責任者であるRenaud氏にお答えいただきました。
廃棄物収集の現場に寄り添い、サーキュラーエコノミーの実現を。
– まずは、「サーキュラーエコノミー」および御社が掲げている「To End Waste」についての考えを教えてください。
世界では、製品のライフサイクルは、「リニア・エコノミー(直線型経済)」モデルで行われる傾向があります。つまり、製品は、埋め立てで終わることを想定し、設計、製造、出荷されているのです。一方で、サーキュラーエコノミー(循環型経済)は、プロセスや製品を意図的に再設計することで、廃棄物や資源の枯渇をなくそうとするものです。これには、生産サイクルにおける材料の再利用や、製品の使用における廃棄物の必要性を減少させることが含まれます。循環型経済では、製品のすべての要素に役割があり、最終的には継続的に再利用される場所に到達できると考えています。
– 廃棄物収集の現場で働く人々を非常に大事にされている印象がありますが、それはどのような考えからなのでしょうか?
雨の日も晴れの日も、私たちの廃棄物やリサイクル品を回収・処理に従事する方々こそが、私たちの使命の中心であり、私たちがテクノロジーを開発する理由なのです。
イノベーションによって、米国および国際特許を50件以上取得。
– 提供されるサービスの中心はテクノロジーだと思いますが、そのテクノロジーが果たす役割について、どのようにお考えですか?
今日、ルビコンはクラウドベースの廃棄物・リサイクルソリューションを提供する世界的なリーダーであり、廃棄物・リサイクル業界に透明性をもたらす最先端のソフトウェアの開発に注力し、お客様がデータに基づいた意思決定を行うことで、より効率的かつ効果的なオペレーションを行い、より持続可能な成果を生み出すよう促しています。
– テクノロジーを駆使し、廃棄物業界におけるイノベーションを起こしていますが、そのモチベーションと独自性の証明である特許について教えてください。
ルビコンは50以上の米国および国際特許を取得しています。ルビコンの知的財産委員会は、社員が創作したすべての知的財産の収集、文書化、保護を確実に行うことを任務としています。また、特許出願のさまざまな段階で社員に報奨金を支給することで、イノベーションのインセンティブを高めています。これらのプログラムとルビコンの文化が、今後数十年にわたって廃棄物業界を再構築する大きなアイデアを生み出す源泉となっています。また、人工知能に関する最新の考え方は、当社の研究開発(R&D)チームの業務に大きく反映されています。
すでに世界20か国以上で利用、日本では小田急と「To End Waste」を目指す。
– 米国以外のグローバルでの展開と、提供するサービスがどのように使用されているかを教えてください。
ルビコンのテクノロジーは現在、世界20カ国以上で、ルート計画、街のインフラチェックなど、廃棄物・リサイクルサービスからスマートシティの革新まで、すべてをデジタル化するために利用されています。
– 提供するサービスが、現地に適合しパフォーマンスを発揮するための課題と、その解決する方法について教えてください。
それぞれの市場はユニークです。私たちのテクノロジー・ソリューションの可能性を最大限に引き出すために、国内の規制やコンプライアンス、廃棄物収集ルール、その他の地域的側面に対して理解し、実行する小田急のようなパートナーに期待しています。この考え方とアプローチは、私たちが共に成功するために不可欠なものです。
– 小田急を日本におけるパートナーに選んだ背景と理由、これまでの評価と今後の期待を教えてください。
運輸・流通・不動産の各分野で事業を展開してきた小田急には、「循環型社会の実現において重要な役割を果たす資源・収集運搬の領域の深刻な課題に対して、循環型廃棄物ソリューションを日本市場に持ち込み、環境問題の解決を目指す。」という大胆なビジョンがありました。この目標は、私たちの「廃棄物をなくす(to end waste)」というミッションと合致しており、深く共感しました。今回の提携により、小田急電鉄は資源・廃棄物の収集運搬を起点とし、サーキュラーエコノミーの実現に資するデジタル・インフラを立ち上げる準備が整いました。私たちは、日本中の自治体に実用的な廃棄物データと透明性を提供できることに興奮しています。
editor=田村 高志